寒い寒い冬がやってきた。
・・・・・・ということは、何だかそわそわしてしまうのがこの季節だ。


「ジロちゃん、もうすぐクリスマスだよー!!」
「うんうん!!まじまじ楽しみだC〜!」
「今年はサンタさんに何頼んじゃう?!」
「どうすっかな〜!!」


ぽかぽかと暖かい部室で、部活が終わり帰る前のだらだらした時間は結構好き。
こうやってわたしとジローちゃんが話してると着替えが終わった跡部と忍足が来た。


「キッズがここにおるで。会話がキッズや」
「ったく・・・アイツらは・・・・・・」
「かわええなぁ」


主に跡部が呆れ顔で、忍足が仏のような、そんな目でわたし達を見つめた。
それから数日後のちょうどクリスマス一週間前、部室の机によく分からない人形が置いてあった。
突然すぎるし謎だし外国の人形って正直ちょっと怖い。


「どしたの〜?」
「あ、ジロちゃん。見てあれ、なに・・・・・・?」
「人形・・・・・・?」

「そいつは妖精のエルフだ。」

「びっくりした!跡部!!」
「えーー!?妖精って!?なになになに!?」


跡部の説明によると、要するにこの妖精はサンタのスパイ的な存在だったのである!!!
プレゼントをもらう子供たちが良い子にしているのか監視したり、サンタのお手伝いをしているらしい。


「こいつはクリスマスの日まで北極と日本を行き来してサンタにお前らの事を報告する」
「やばい・・・!良い子にしてないと・・・・・・!!」
「だね〜」
「おい待て!ジロー!!そいつに触るな!!!!!」

「!?!?!?」

「そいつに触っちまうと・・・・・・魔法が解ける」
「ええええ〜〜〜〜!!!!あっっぶね〜〜〜!!!!」


わたし達がいないところでは自由に動き周っているみたいだけれど、わたし達がいるとまるで人形のように動かなくなるみたい。
そんな話を跡部から聞いた日から、毎日部室に行く度にエルフがあっちこっちに移動していた。


「見てみて!今日は部室のタブレットで映画観てたみたいだよ!!」
「かっわE〜!!昨日はジムでトレーニングしてたC!」
「わたしたち良い子にしてるってサンタさんにちゃんと報告してくれてるかな!?」
「オレ、授業中頑張って起きてる!!!」
「えー!?ジロちゃんが!?!?すごいーー!!」
「アーン?すげぇなジロー。ちゃんとエルフは見てるぜ」
「イヒヒ!」


誇らしそうに笑うジローちゃん。わたしだって早起きして部室の掃除したりしてるもん!
絶対にエルフに触らないように気を付けてるんだから!!


「そういやエルフってずっといるの?」
「いや、クリスマスの日にプレゼントを持ってきていなくなっちまう」

「「ええーーー!!?!?!?!」」

「また来年も来るから安心しろ」
「ちょっと寂しいね」
「そだね」


そうしてクリスマス当日の朝、珍しく朝バッタリ駅でジロちゃんと一緒になった。
特に言葉は交わさずとも自然と速足で部室に行くわたし達。扉を開けてみると・・・・・・


「わーーー!!!!」
「すげ〜〜!プレゼントだ!!!!!!」
「手紙もある!でも英語で何が書いてあるんだか全然分かんない!!」
「跡部に見てもらおうぜ!うっわ〜〜!!まじまじすげえ!丸井くんに自慢しよっと!」
「エルフありがとーーー!!!」


きゃっきゃと朝から騒ぐわたし達の後ろで跡部が微笑んでいたなんて、わたし達は全く知る由もなかった。
We wish you a merry Christmas!!