どうも、白石蔵ノ介です。

今日で15歳になる中学3年生です。正直俺・・・めっちゃかっこえぇです。だから今日も女の子からようさんプレゼント貰いました。そんなカッコイイ俺には可愛すぎる彼女がおんねんけど、めっちゃ天邪鬼さん。
俺が明日は天気やー言うたら、彼女はいや雨やな、と逆のことを言う。俺があれは真っ黒や!言うたら、彼女は真っ白やね、と言う。とにかく素直じゃない。でもそんなとこが可愛いから、全然直す必要はない。直さなくていい。


「なぁ。今日は何の日や?」
「オレンジデー」
「は?」

「オレンジデーとは、愛媛県の柑橘類生産農家が1994年に日本記念日協会(民間の任意団体)で登録し、PRキャンペーンをしているイベントのことである。欧米では、オレンジは多産のシンボルとされ、新婚のカップルなどに贈られる。これに目を付けた様々な団体や企業が、2月14日のバレンタインデー、3月14日のホワイトデーに続き2人の愛を確かなものにする日で、オレンジまたはオレンジ色のプレゼントを持って相手を訪問する日、として提案しキャンペーンを行っている」

「長っ」
「出典はウィキペディアでした、ちゃんちゃん。そういうことで帰るね」
「おいおいおいおい!」


鞄を持って、夕日で赤く色付いた教室から出て行こうとするの腕を掴む。もー何よ、と言って振り返るに、俺はこう言った。


「誕生日やねん、今日、俺の」
「知ってる」
「知ってんねんやったら何でオレンジデーとか言うねん」
「言いたかったから」
「・・・・・・何やそれ」
「う・そ。ちゃんと用意してますー!」


そう言っては鞄から、お風呂で遊べるアヒルを取り出した。
俺が目を点にしてそれを見つめていると、はいらないの?と訊ねてくる。いや、いらんことはないけど・・・・・・何でアヒル?俺はアヒルを片手にそんなことを考えていた。
アヒル・・・いやまぁめっちゃかわえぇんやけど・・・なんとなくに顔似てるし。


「探したの必死で。・・・・・・・・・オレンジ色のもの」
「え?」
「オレンジなんかハイって渡してもなぁって思って、オレンジ色のもの必死で探したんだけどその子しかいなくって。でも可愛いから白石喜ぶかなぁと思ったんだけど・・・」


やっぱいらなかった?首を傾げて、は俺にそう問うてきた。その姿を見て、俺はぶんぶんと首を横に振った。


「いらんことない。が一生懸命探してくれたんやろ?いらんはずないやん」
「そ、っか・・・折角オレンジデーっていうバレンタインとかホワイトデーの親戚みたいな楽しいイベントがあるんだからフルに活用したかったの。私白石のことめっちゃ好きだから」
「え・・・・・・え?今なんて?」
「私、白石のことめっちゃ大好き」


あれ、あれれ?いつもの天邪鬼さんは何処?何や今日はえらい素直やな・・・調子狂うやん。・・・・・・かわえぇけど。俺はアヒルを近くの机に置くと、の体を抱き寄せた。細くて小さい体はあっという間に俺の腕の中に収まってしまった。ホンマやったら、離せ変態、と言われるとこやけど今日は違った。


「誕生日くらい素直でいてあげる」


そしての腕が俺の背中に回される。あかん、あかんて。そんな可愛いことされたら、ここで押し倒したくなるやんか。理性を保とうと必死になる俺に、は止めの一言を浴びせてきた。


「ちゅーしよ。ていうか、したいな」
「・・・ちゃん」
「何?キモイな」
「俺もう我慢できへんけど・・・・・・えぇの?」
「だめ」
「えぇー・・・」
「今日は白石の家誰もいないでしょ?だから、家まで我慢!」


頬をピンク色に染めて、がそう言った。それってつまりあれってことやんな?え、ホンマに?いただいてえぇの?と考えてる間に、に唇奪われて、不覚にも真っ赤になってしまう。それを見て、かーわいーと冷やかすとは教室を飛び出していった。

ワンテンポ遅れて俺もその後に続く。もちろんアヒルも忘れずに。俺の先を行く彼女の背中を捕まえて、甘く囁けばアホと愛の言葉も頂けて。あ、知ってる?アホはこっちでは愛情表現。アホほど嬉しい言葉はあらへんよ。

その後、をおいしく頂いて、アヒルも交えて一緒にお風呂入って帰り道に買ったオレンジジュースを飲んで(あ、もちろん口移しで)今日という日が幕を閉じたわけやけど・・・・・・・・・


「うざいってば」
「何やー昨日の可愛すぎるはどこいったんやー」
「さぁね」
「・・・なぁ
「セクハラ発言したらぶっ飛ばすよ」
「・・・・・・愛してんで」
「っ」


真っ赤になった彼女の唇にすかさずキスをする。あれ、リップ変えた?・・・オレンジの味する。



(20090414)→(20180414)加筆修正・再録