「白石ー!財前どこ行った!?」
「はぁ?もう少しで練習始まるで?、探してきてや」
「なんでまたわたし!?」
「俺は金ちゃん担当、は財前担当やろ」
「勝手に担当決まってるし!白石のドアホ!!」
「・・・とか言いつつうちのマネージャーは探しに行ってくれるからええな」
「白石も人の扱い本当にうまいわ。行く、行けばいいんでしょ」
財前を探しに行くのはこれで何度目だろうか。
ここ数ヶ月、週に3回のペースで彼はどっかに消える。
教室にいたり、屋上にいたり、裏庭にいたりと、場所は色々だ。
「見つけるの、大変なんですけどー」
「あ。」
今日は倉庫になってる教室で寝そべりながら携帯をイジっていた。
「今日いつもより早いッスね」
「わざと?いい加減怒るよ!?よし、今日は徹底的に説教」
「はぁ」
「人と喋る時はイヤホン取る!」
めちゃくちゃ生意気!!
わたしも金ちゃんみたいな素直な後輩を担当したかった。白石め。
「なんでいっつも部活前にいなくなるの。部活嫌?」
「いや・・・そういう訳ちゃいます」
「ほんと?!よかったー・・・!」
「っふ」
「って、それじゃあ何でいなくなるの!・・・っは!?まさか!」
「?なんスか」
「行きたくない原因って・・・わたし?」
絶対にそうだ。
だって部活は嫌じゃない、けど・・・わたしがいるから行きたくないってことでしょ!?
いっつもいっつもわたしがしつこいぐらいに探すし。(白石に言われたのもあるけど)
うわ、ちょっと涙目になってきた。
生意気だけど好きだから探すし、一番の後輩だ。
「・・・泣かないでくださいよ」
「だって・・・!!」
「ほんま先輩ってどんな思考回路してるんスか」
「?」
「俺、先輩の気引こうとして隠れてたって言ったら・・・どうします?」
財前の顔は真面目で、冗談を言ってる感じじゃなかった。
でも、わたしはそれにどう答えたらいいの?
「もっと砕いて言うと俺が先輩のことが好きでわざと・・・」
「ちょ、ちょっと!!ストップ!そ・・・そんなに急に口説かないでよ!」
「口説きますよ。こっちは本気なんスから」
形勢逆転。
さっきまで財前に説教しようと思ってたのに。
「先輩・・・答えなきゃここで押し倒しますよ」
「な、なに言ってるの?!!」
「さん・・・にー・・・」
「え、っと!えっと・・・!!」
「いち・・・」
ドン、と軽く財前がわたしに馬乗りする形で押し倒された。
「ゼロ」と言いいながら舌をベーって出して優しくキスをした。
わたし返事、まだしてないし。
「・・・生意気。好きになっちゃうじゃん」
「なってくださいよ」
そう言って優しく笑う彼のことを見て一瞬で虜になってしまった。
生意気な後輩のくせに。
ちょっぴり悔しかったからわたしからキスしたら真っ赤になって口を手で押さえてた。
(20120410)