!今日の放課後空いてる?」
「あ、今日は生徒会の仕事あるんだよね。ごめん」
「そっか。でもいいよねー。跡部さんと一緒に生徒会の仕事できるなんてさ!」
「先輩とは業務以外で会話したことないし!」
「そうなんだ?それじゃあ、頑張ってね。」
「うん。ばいばい!」


・・・生徒会かぁ。あのピリピリしてる雰囲気が、ちょっぴり苦手。
生徒会に入る前は先輩たちと仲良く談笑したり、一緒に帰ったりするのかなぁなんて想像してたんだけどな。

まず跡部会長怖すぎ。
なんでいっつも眉間にシワ寄せてるの!?
話しかけにくいし、何より私のこと『鈍くさい女』って思ってるんだろうな・・・。

・・・わたし実際、仕事遅いし。


「あれ?」


生徒会室に行くと、そこに居たのは跡部先輩だけだった。おかしい。
今日は生徒会の会議があるはずなんだけどな・・・。わたしが間違えた?


「ん?なんで来てるんだ。会議は明日だぞ」
「え・・・!?あっ・・・うそ!こ、これは担任の先生が」


朝のHRで絶対に今日って言ってたよ担任!!
なんかもう恥ずかしいし・・・!跡部先輩はずっと笑ってるし・・・穴があったら入りたい。


「・・・ふぅ。仕事、手伝ってくれるか?」
「あ、はい!」


そういえば、初めて跡部先輩がこんなに笑ったところを見た気がする。


「ふふ。先輩も人間だったんですね。」
「アーン?どういう意味だよコラ」
「そのままの意味ですよ。」


あっ怒られるかな・・・?と思って先輩をチラッと見たら、口角が上がってた。
なんだか今日はいろんな先輩の一面を見れる日だな。


「あれ・・・?先輩、今日メガネだったんですね。」
「気づくのおせーよ。」
「びっくり!今気づきました。」
「俺としたことが・・・コンタクトが切れてたんだよ。なんだ?惚れたか?」


なんか・・・先輩がモテるのも納得。
こういう恥ずかしいことをサラッと言うんだもん・・・!!!
先輩の言動に、表情に、いちいち顔が赤くなってしまう。


「おい、無視してんじゃねーよ」
「う・・・あっごめんなさい・・・!!」
「顔赤いんじゃねーの?大丈夫か?」
「ち、近いです!近いです先輩!!!わたし、大丈夫ですから!」


すると先輩は我慢してたのか、吹き出すように大声でケラケラ笑っていた。
絶対に確信犯だ・・・!!もう、本当に恥ずかしい・・・!


「跡部先輩のファンが今のやられてたら、失神してますよ・・・!」
「ほう。お前は俺様のファンじゃねーのかよ」
「・・・まぁ。・・・どちらかと言えば苦手でしたし・・・その・・・・・・」
「アーン?今の発言、俺様の癇に障ったな。」


「だ、誰もが皆、跡部先輩のことが好きとは限りませんからね!!」


言ってしまった。
わたしの学園生活終わった。もう頭真っ白・・・どうしよう・・・よし。逃げよう。


「あ、ちょっと待てこら!!!」


鞄もコートも何もかも置いて逃亡を謀るも、あえなく先輩に捕獲されてしまった。


「ちょっと離してください!ここ女子トイレですよ?!」
「んなの関係ねぇ!お前が逃げるから悪いんだろ!?」
「わたしが悪いんですか!?先輩が私をおちょくるのがいけないんですよ!!」


「ッチ。ごちゃごちゃうるせーんだよ」


そう言って突然わたしの唇は先輩の唇と重なり合った。
もう、何も言えなくなった。頭で何も考えられなくなったのだから。


「・・・大人しくなったんじゃねーの」
「降参・・・です。」


不敵な笑みを浮かべる先輩。


「明日からどんな顔すればいいんだろ・・・」
「俺様の彼女っていうツラして過ごせば?」


もう・・・先輩には一生敵いません。







(20130115)