Are you ready?






ぐうううぅぅぅぅうううぅぅぅ・・・・・・


「・・・何今の・・・・」
「腹減った・・・」
「早いよ!さっきお昼食べたばっかりでしょ?」


たった今5時間目の授業が終わったばかり。なのに丸井ブン太はお腹の虫を盛大に鳴らして、とんでもない一言を告げた。
私のお昼のパンを盗んでおきながら、この野郎・・・・胃に穴でも空いてるんじゃないの?一回病院逝け!!


「な〜あ〜何か食いモン持ってねぇ?」
「・・・・・・ない」
「あるだろ!隠してるだろぃ!!!」
「ちょ!勝手に鞄持って行かないでって・・・あーーーーーっ!!!」
「へっへ〜ん♪いいモンめーっけ!」


私の鞄からは新発売のチョコレート。朝コンビニでお昼ご飯買うときに一緒に買ったもの。
家帰ってから一人で食べようと思ってたのに・・・・よりによってブン太にバレた。
もうダメだ。こんなこと考えてる間に私のチョコレートはブン太の胃の中に・・・・


「んめーーー!」
「・・・・・・せめて私にもひとつください・・・」
「何でだよ」


何でだよって・・・・それおかしくない!?それ私の!わ・た・し・の!!
私が自分のお金で買ったものですよーーー??分かる?分かるよね?だってもう中学3年生だもんね?
って、おま・・・一気に何個口に入れてんの!ハムスターですか?とっとこ気取りですか。握りつぶすっ


「じゃあ代わりにブン太の何かちょーだい」
「俺何も持ってねぇよ」
「一番大切なものは何ですか?」
「命」
「じゃあお命頂戴いたしまーーーーす!!!」
「って本気でハサミとか出すなっ!危ねぇだろぃ!!」


そんなブン太の言葉を無視して、机にハサミを突き刺した。それを見て、ぽろっと口からチョコレートを落とすブン太。
悪いけど・・・・私は本気です。何ならその髪をばっさり切り落とさせてくれるってのでもいいけどね。・・・ダブルスで仲良くハゲてろ!!


「わーかったって!じゃあお前には特別に俺の携帯の番号を教え「いらない」・・・うわ」


今更ブン太の番号なんていらないです。ていうか知ってるし。


「あ、そうだ!」
「次は何?食べ物はもうないよ」
「次の日曜この俺とデートってのはどう?」
「・・・・・・・・・・」


ブン太とデェェェトォォォォォォ??????・・・・・・・・・。


「奢りなら」
「当たり前だろぃ。俺がどどんと奢ってやるぜぃ!」
「じゃあ行く」
「んじゃ決まりな」


そして再びもぐもぐと口を動かすブン太。なんて幸せそうな顔で食べるんだ。
ま、こんな顔が見れるならお菓子あげるのも悪くないかな〜なんて。


「それなりに楽しみにしとくよ」
「それなりにって・・・この天才とデートできるなんてくらいだぜ?」
「天才って・・・自称のくせに」
「うっ・・・」
「うそうそ。ブン太が惚れるくらいオシャレしてあげるよ」
「・・・・・・・それなりに楽しみにしといてやるよ」

そうブン太が言った時、6時間目を告げるチャイムが鳴った。
私の後ろの席のブン太に背中を向けて、机から教科書を取り出そうとした時、ブン太に肩を叩かれもう一度振り返る。「何?」と口を開くと、私の鞄から勝手奪ったチョコレートを一つ口の中へ放り込まれた。
途端甘い香りと味が口の中に広がった。


「しゃーねぇから分けてやるよ」


だから元はと言えば私のだって。と心の中で呟いてみたけど、ブン太がお菓子分けてくれるのはすっごい珍しいことだから素直にありがとうとお礼を言っておいた。
ブン太は満足気に笑うと、自分の机に手を突っ込んで教科書を出そうと視線を下ろす。
その間に体を前に戻し、少しだけ熱くなった頬を冷ます為に手で顔を仰いだ。・・・・・・・日曜日、楽しみかもしれない。





(20090420)