心理テストなんて、今まで信じていたわけじゃあなかったけれど、これは実に当たっていると思った。


「緑は・・・一番うるさいと思っている相手」
「お前のは柳生だな」
「真田・・・幸村って・・・チクろうか」
「やめんか!」


軽く頭を叩かれて、笑う。
真田が心理ゲームなんかやるとは思わなかった、これも意外。
あまりに暇そうにしているものだから勧めてみたら、あっさりメモまで貸してくれた。


「ピンクはエロいと思う人」
「けしからんな」
「真田のけしからんと思う人は、あ、わたしだ」
「桃色など女の色だろう、それだけだ」
「わたしは仁王だったよ、当たってるね」


真田は「ほう、いいな」と言いつつのってきた割に、先から文句ばかりだ。
唯一当たっていると言ったのは、世話が掛かるという結果が出た赤也だけだった。


「次は白だね。結婚したい人だって」
「・・・何」
「あ、真田、またわたしの名前書いてる」
「お前も俺か」
「じゃあ両思いだ」
「たわけが」


お前などお断りだ、まで言わないのは優しさなのか、なんなのか。
真田と結婚かぁ、と少し考えてみた。


「真田すっごいうっとうしそう・・・亭主関白っていうの?帰ってきて奥さん寝てたら怒るでしょ」
「ああ、そうだな。飯を用意して待って、」
「やっぱりそれだ!でも真田小学生みたいに早く帰ってきそう」
「当然だろう、愛する妻を待たせているのだ」


真田が愛する妻って・・・ちょっと。
自分で、全く似合ってない単語を口にした事、わかってるんだろうか。
多分わかっていない真田は腕を組んで、うんうんと頷いている。
妄想タイムに入っているんじゃあ。


「でも、わたしは夜更かしだから真田タイプの旦那さんでも全然大丈夫だなぁ」
「風呂も沸かして待っていれば良いな」
「わたし早い時間に入るからなぁ。いいお嫁さんになれそう。お料理も好きだし」
「自分で言う奴があるか」


ふん、と鼻を鳴らす真田。
まだ心理テストの結果は残ってたけど、思うところがあって話を続ける事にする。


「ベッドじゃなくて、布団で寝るのがいいな。夫婦で並べて寝るの」
「同感だな、あれは好かん」
「あー、やっぱり。真田はそんな感じだもん。わたし結婚するなら絶対引っ張ってくれる人がいいな」
「確かに、お前は後ろから付いていくという感じだな」
「三歩後を歩く、っていう表現の方がいい」
「残念だが、そういった感じではない」


ほんっとデリカシーないよ、真田!
頭でも叩いてやろうと手を出すと、両手首を押さえて制止された。


「すぐ手が出るところが、三歩後ろという感じではないのだ」
「じゃあ、もうちょっと大人しくしてる・・・」
「そうだな、そうしていれば俺の理想の嫁かもしれん」
「え、ほんとに?」
「ああ、結婚するか」


ぽつり、と呟いたそれは冗談なんか、天然なのか・・・えーと。
固まって真田を見ていると、こっちに視線を戻して少し笑った。


「どういった風に捕えても構わん、お前の好きにしろ」


真田のごつごつとした手は、わたしの手首から手へと渡り、きゅと優しく握って離れていった。
ふ、と優しく微笑んだ真田の顔が、頭から離れない。






(20120123)「お前がいい」